日に日に秋が深まる気配を感じはじめた10月12日(木)、翌日の「岡山県中学校長研究会」での講演を前に、ひきたよしあきは「蟇田」の祖先の地、成羽(なりわ)を訪問しました。岡山駅からクルマで一時間強の成羽は、電車では行くことができません。この日は地元で医師をしている友人が、クルマを出して一緒に回ってくれました。

その友人が事前調査してくれた結果、廃業した旅館の門に「蟇田」の表札を見たとのこと。まずはその建物を目指して一路、成羽へ。到着すると、本当です。「蟇田」と書かれた表札が掲げられた立派な門がありました。驚きました。知らない血のつながりが、この地にまだあったのかもしれません。

昔の成羽は赤色顔料の一つである「ベンガラ」製造が盛んで、それを商いとする人たちを相手にした旅館がたくさんありました。その一つが蟇田の本家です。祖父の代に一族は東京に出てきていてしまい、残念ながらいまはもうこの地に親族はいません。川の近くの旅館はその後、小さな美術館、図書館、幼稚園を持つ、街の複合施設へ。そのあとは文化センターとなったようですが、いまはその跡地として名残のペガサス像が建っています。

蟇田という変わった苗字は、この成羽に由来します。赤い「ベンガラ」は古くは神社の鳥居などにも用いられたものでした。成羽はそれを江戸で商うために、いまの麻布十番の近くに屋敷を持っていました。ある時、江戸の大火が起きました。ところがこの屋敷は、池にいた蛙が口から水を吐いて焼失を免れたと言い伝えられています。以来、その地が信仰の対象となり、蟇田の祖先はこの屋敷を守った縁起の良いカエルにちなんで「蟇」の字を頂いたと言われています。

赤銅色の石州瓦とベンガラ色の外観で統一された、見事な町並みが整然と続く吹屋を歩いて気付きました。

ひきたよしあきの会社、株式会社SmileWordsのイメージカラーはベンガラ色です!

こうして先祖と繋がるのか!と、あらためて驚きます。ベンガラ色と青い空に彩られた街並み、ひきたよしあきの原点はこの景色と色です。

岡山というおだやかな土地に流れるさわやかな風、秋のやわらかな陽射し。まるで先祖たちが「よう来んさった」と歓迎してくれているようです。

途中、ベンガラ染めのTシャツを買いました。明日の「岡山県中学校長研究会」には岡山への愛とリスペクトを込めて、このTシャツで登壇すると決めました。