4月20日(木)、26日(水)の2日間、高円宮記念JFA夢フィールド(海浜幕張)で開催された「2023年度 公益財団法人日本サッカー協会 S級コーチ養成講習会」の講師として講義を行ってきました。
S級ライセンスはJリーグの監督に必要な最上位資格。A級ライセンス保持者で、トライアルに合格しなければ受講できないという厳しいものです。したがって受講するメンバーは誰もがその名を知るレジェンドばかり。
内田篤人(34=U-19日本代表ロールモデルコーチ)
大黒将志(42=G大阪ユースコーチ)
大塚真司(47=甲府ヘッドコーチ)
小野智吉(43=横浜FCユースコーチ)
北嶋秀朗(44=クリアソン新宿ヘッドコーチ)
金明輝(41=町田ヘッドコーチ)
佐藤由紀彦(46=東京コーチ)
島田裕介(41=大宮U-15コーチ)
田中遼太郎(33=福岡コーチ)
中後雅喜(40=東京Vジュニアユースコーチ)
塚原真也(37=FC大阪強化ダイレクター)
津田琢磨(42=栃木シティヘッドコーチ)
仲野浩(43=JFAコーチ)
中村憲剛(42=U-16日本代表ロールモデルコーチなど)
埴田健(40=品川カルチャークラブヘッドコーチ)
平川忠亮(43=浦和ユースコーチ)
平塚次郎(43=湘南U-18監督)
明神智和(44=G大阪ユースコーチ)
村上佑介(38=長崎コーチ)
本橋卓巳(40=松本U-18監督)
=敬称略
送られてきた名簿を見て、「嘘でしょ?」という気持ちとうれしさが入り混じり、喜びと不安で胸が押しつぶされそうになるひきたよしあき。
自分を奮い立たせて迎えた初日の20日は、この季節の美しさをすべて集めたような晴天。
「夢フィールド」に降り立ち「あぁ、今日この瞬間は一生の思い出になるな」と感慨深く思います。
会場に案内されると、レジェンドたちはちょうど食事中。それぞれにお弁当やコンビニのおにぎりを口にしていました。
「みんな、黒い…そして、大きい…」というのが第一印象。驚き、たじろいでいると、みなさんがこちらを向き「こんにちは!」と声をかけてくれました。その白い歯と笑顔の爽やかさ。
「ああ、これがスーパースターなんだ」と、憧れと喜びがこみ上げてきます。
講義は、20日が90分、26日が90分×2回という構成です。
決してサッカーに詳しいとは言えないひきたよしあきですが、「憧れていては、超えられない」と自分に言い聞かせ、通常の講義と同じ心持ちで話しはじめます。
20日の講義では、先のWBCで語った大谷翔平の言葉を分析。「なぜ、彼の声がけが世界中の人々の心に響いたのか」を紐解きます。
正直、日本を代表するサッカー人である彼らに向けて野球の話をしていいものか逡巡しましたが、決勝戦を前に大谷翔平がメンバーにかけた言葉――励ましの真髄が詰まっている「PEPトーク」――は競技の垣根を超えた普遍性があると思い一生懸命話しました。
真剣に耳を傾けるサッカーのレジェンドたち。まったくの杞憂でした。
彼らにも「3連敗したチームの仲間に声をかける」という想定で実践をしてもらったところ、驚くほど、力強く、的確で、心を躍らせる言葉を語りかけてきます。
プロというのはすでにこの域に達しているのだと、言葉の力のすさまじさに圧倒されました。
26日は、全員に「全日本の監督に就任した際に選手及びマスコミ、ファンに向けてのスピーチ」を語ってもらいました。
その際、「自分のめざすサッカーの方向性を必ず入れること」「チームのキャッチフレーズをつけること」「3分間でスピーチすること」の3つを約束ごととしました。考える時間は20分。
誰一人逸脱する人がいなかった。全員が、チームのキャッチフレーズを考え、方向性を3点示し、3分以内に簡潔に明瞭に話をまとめます。
ここにその内容を書くことができないのが残念ですが、多くが、
日本の子どもたちを笑顔にしたい。
日本の活気と誇りを取り戻したい。
というベースの上に、「勝つことへのこだわり」を語ってくれました。
これが「日本を代表する」ということなのだと、こちらの方が学ぶばかり。
それにしても、とにかくみんな、とても優しい。
廊下で会えば、頭を下げて笑顔を向けてくれる。
川﨑フロンターレで活躍した中村憲剛さんが、ひきたよしあきの住まいが川﨑と知って「梶が谷ですかぁ!」と言って握手をしてくれる。
内田篤人さんとのツーショット写真を撮る際、スマホに貼ってあるSmileWordsのロゴとひきたよしあきの顔を見比べて「似てますねぇ」と、笑顔を向けてくれる。
そのひとつひとつが、濃縮された思い出になり、これからの活動の糧になりました。
サッカーを通じて、みんなを笑顔にしたい。
S級コーチたちとその思いを、多くの人に伝えていきたい。
このたびは、素晴らしい経験をさせていただきました。
ありがとうございました!