ひきたよしあきの会社SmileWordsは、日本橋室町一丁目にあります。日本橋三越まで歩いて5分もかからない便利な場所で、近くには、蕎麦屋、天ぷら屋、寿司屋、鰻屋と江戸情緒を色濃く残す食べ物屋さんがあります。

5月13日(土)、神田祭のメイン神事「神幸(しんこう)祭」がこの室町一丁目でも繰り広げられました。神田明神の氏子として、地元の方たち、この地域に勤める方たちが勇壮華麗な行列を作り、御神輿を担いで町内を練り歩きます。

当日、珍しく仕事のなかったひきたよしあきは、三越の前からあがる子ども神輿に遭遇。担がれた御神輿は、三越の店内に入っていきます。驚きながら立ち会っていると、お客様もお店の人も笑顔いっぱいで大喜びです。店中が「福」に満たされたような心持になり、こちらまで自然と笑顔になります。

日本三大祭りの一つ「神田祭」の歴史は古く、神田明神が創建された天平2(西暦730)年から続いていると言われます。江戸幕府は開府以前から、収穫祭に近い祭礼をおこなっていたとされ、まさに江戸幕府と庶民の心が一体となるお祭りでした。

その歴史を今につなぐ町内のみなさんの法被(はっぴ)を見ると、江戸時代から続く老舗の名前がずらりと並んでいます。その中で、信用金庫や不動産会社に勤める人たちが揃いの法被を着て祭りの手伝いをしていました。

人混みが嫌いで、これまでは好んで祭りに参加することはありませんでしたが、事務所の前を何度も御神輿が通り過ぎ、この町で暮らす人たちが、声を上げ、手を叩き、喜ぶ姿を見れば心が華やぎますし、厄が祓われていくような清々しさも感じます。

ふと見ると、ご高齢の女性の目がうるんでいます。法被姿できりりと紅をさしたいかにも「江戸っ子」という風情の女性です。その女性の肩に手を置いている恰幅のいい男性は息子さんでしょう。お腹は出ているけれど、これまた祭り衣装が似合います。

「おばぁちゃん、よかったね!」

と町の人が声をかける。

「4年ぶりですから!4年ぶり!」

と息子のカラッとした声が響く。

2年に一度開催される神田祭は、新型コロナの影響で前回は中止。4年ぶりの開催でした。女性の喜びもひとしおだったのでしょう。

御神輿を担ぐ人、練り歩く人にマスクをつけている人はほとんどいません。あの忌まわしい自粛規制が解かれた喜びを神田明神に御礼している、そんな風にも見えました。
一日中、祭囃子を聞き、事務所の窓から神輿の写真を撮ったりして、なんとも幸せな一日。

時折雨も交じる曇天ではありましたが、祭囃子が通り過ぎる頃、吹く風の中に夏の匂いがしたような気がしました。