春を思わせる陽気の2月1日(木)、昨年に引き続き神奈川県の保育園の管理職の先生方に向けて講演をしました。テーマは「言葉の力でコミュニケーションギャップを乗り越える」。

現代の日本人が一日に接する情報量は、平安時代の人の一生分、江戸時代の人の一年分だそうです。併せて、価値観やコミュニケーションの多様化も日進月歩で進み、これまでの常識を柔軟にアップデートさせなければ円滑なコミュニケーションは難しくなってきています。

講演を聴きにきてくださった先生方は日々、保育士、保護者問わず若い世代とのコミュニケーション、園内の職員関係、はたまた預かる子どもたちの心身の健康など、多方面にわたる問題の難しさに直面しています。

そのような問題の解決に向けて、少しでも力になるような「言葉の処方箋」を渡すことができれば。

ひきたよしあきも昨年の話からさらにアップデートさせ、自身の強みである、小学生から政治家、僧侶まであらゆる世代と社会的立場の人たちに伝わる言葉の技を惜しみなく伝えます。90分の予定だった話は120分にも及びました。

「最後に」と示したのは「笑顔」を題材に、教え子である大阪芸術大学の学生たちが書いた作文です。

「笑顔は嫌い」「中学の時私はほとんど笑えなかった」「ネットを開けば失笑嘲笑にあふれている」。大人が思うようなポジティブな話は出てきません。

「笑顔という作文を書かせるとこういうものしか上がってこないくらいに、自分が傷つかないために得た『いい人戦略』の裏で若者たちは苦しんでいます。彼らの楽し気な表情、優しい態度は、ひきこもりやうつ病と紙一重といっても過言ではありません。それくらい彼ら彼女らは、実は追い詰められているのです。ですからみなさん、年長の者は自分も含めて、笑顔と言葉で子どもたち、若い世代、下の立場の人を癒してほしいと思います」。ひきたよしあきはこう、講義を締めくくりました。

先生方からは、「心を病んでしまった若い職員の気持ちがわかった」「園内研修に取り入れたい話がたくさんあった」という感想や「今日聞いた話が効かない人にはどう対処したらいいか?」「保護者への情報発信の書き方に悩む。どう書けばいいのか?」という悩みが寄せられました。もちろんその悩みにも答えます。少しでも先生方の明日が軽やかになるなら。

外に出て会場を見上げると、その向こうに澄んだ空気と青空が。
昼間の温かさとは打って変わって冷たい北風が吹いていましたが、春はすぐそこまできています。